
【台風シーズン】住まいと水害への備え方|ハザードマップ活用ガイド
目次
- まず、今まさに大雨警戒中の方へ
この記事より先に確認していただきたいこと
- 住まい探しで「浸水リスク」を意識したい理由
台風・秋雨前線シーズンに考えておきたいこと
- 浸水しやすいといわれる土地の一般的な特徴
地形・立地から見る目安(断定はできません)
- ハザードマップの見方・活用法
洪水・内水・土砂災害・高潮、種類ごとのポイント
- 物件探し・内見時に確認しておきたいポイント
ハザードマップ以外にもチェックできること
- 住まいの水害への備えとしてできること
火災保険の水災補償など
- よくある質問
- まとめ|「知っておくこと」が住まい選びの安心につながる
まず、今まさに大雨警戒中の方へ
この記事を書いている現在も、台風や秋雨前線の影響で、各地に大雨・洪水・土砂災害に関する警報が発表されています。もし今、お住まいの地域に警報や避難情報が出ている場合は、この記事を読むよりも先に、お住まいの自治体からの避難情報や気象庁の最新情報をご確認いただき、安全確保を最優先してください。気象庁のウェブサイトや、国土交通省の「重ねるハザードマップ」ポータルサイト、自治体の防災アプリなどでも、リアルタイムの警報・注意報を確認することができます。
すでに被害に遭われた方、不安な状況にある方には、心よりお見舞い申し上げます。この記事は、こうした状況を受けて「これから住まいを選ぶ・住み替えを検討する方」に向けて、平時のうちに知っておいていただきたい情報として書いたものです。個別の地域について「安全」「危険」を断定するものではなく、あくまで住まい選びの参考情報のひとつとしてお読みいただければ幸いです。
不動産会社として、私たちがお伝えできるのは「この土地は絶対に安全です」という保証ではありません。むしろ、どのような立地であっても一定のリスクはあるという前提に立ったうえで、事前にできる確認や備えを知っていただくことが、住まい探しにおいて何より大切だと考えています。
住まい探しで「浸水リスク」を意識したい理由
9月から10月にかけては、台風の接近・上陸や秋雨前線の停滞により、大雨による河川の増水・氾濫や、低い土地での浸水が起こりやすい時期といわれています。近年は「これまで経験したことのないような」規模の大雨が各地で発生することも増えており、住まいを選ぶ際に「この場所は水害に対してどうなのか」を事前に確認しておくことの重要性が高まっています。実際、気象庁も大雨の際には「これまでに経験したことのないような、重大な危険が差し迫った異常な状況」という表現で最大級の警戒を呼びかけることがあり、住まいの立地とリスクは切り離して考えられないテーマになりつつあります。
もちろん、絶対に浸水しない土地というものは存在しませんし、逆に「危険な土地だから住んではいけない」ということでもありません。大切なのは、その土地がどのような特性を持っているかを事前に把握し、必要な備えをしたうえで住まいを選ぶという視点です。これは新築・中古の購入だけでなく、賃貸で部屋を探す場合にも同じことがいえます。
特に、これから初めて土地勘のないエリアに引っ越す方や、遠方から転勤で移り住む方にとっては、地元では当たり前に知られている「この辺りは大雨のときに水が溜まりやすい」といった情報を得る機会がありません。だからこそ、誰でも客観的な情報にアクセスできるハザードマップの存在と使い方を知っておくことが、住まい選びの安心材料になります。
浸水しやすいといわれる土地の一般的な特徴
以下は、一般的に浸水リスクが比較的高いといわれることが多い土地の特徴です。個別の土地について当てはまるかどうかは、実際の地形や排水設備、周辺の河川整備状況などによって大きく異なりますので、断定的な判断はできません。あくまで「確認する視点」の一つとしてご参考ください。
- 周辺よりも標高が低い土地: 大雨の際に水が集まりやすい地形にあたることがあります。地図上の等高線や、周辺道路との高低差なども確認材料になります。
- 過去に河川だった場所や、埋め立て地: 地名や古い地図から、かつて水路や低湿地だった場所を推測できることがあります。
- 大きな河川や用水路の近く: 増水時に越水・氾濫のリスクが相対的に高まりやすいとされる立地です。
- 下水道・排水設備の処理能力を超える雨量が集中しやすいエリア: 都市部では、河川の氾濫がなくても、短時間の強い雨で排水が追いつかず道路が冠水する「内水氾濫」が起こることがあります。
これらはあくまで一般論であり、同じエリア内でも一区画ごとに条件が異なることも珍しくありません。また、近年は治水工事や下水道の整備によって、以前よりリスクが軽減されている地域も多くあります。逆に、これまで大きな被害が出ていなかったエリアでも、記録的な豪雨によって想定を超える浸水が発生するケースも報告されています。「昔からこの辺りは大丈夫だったから」という経験則だけに頼るのではなく、次の章で紹介する公的なハザードマップを実際に確認することが、最も確実な情報源になります。
ハザードマップの見方・活用法
ハザードマップは、各自治体や国土交通省が公表している、災害リスクを地図上で確認できる資料です。国土交通省の「重ねるハザードマップ」や、お住まい・検討中のエリアの市区町村が公開している「洪水ハザードマップ」などを使えば、誰でも無料でリスク情報を確認できます。インターネットで「〇〇市 ハザードマップ」と検索すれば、多くの自治体でPDFやウェブ地図の形式で公開されています。代表的な種類は次の通りです。
洪水ハザードマップ
近隣の河川が氾濫した場合に、どの程度の浸水が想定されるかを示した地図です。想定される浸水の深さが色分けで表示されており、「1階の軒下まで」「2階の床上まで」といった目安を確認できます。
内水ハザードマップ
河川の氾濫ではなく、下水道の処理能力を超える大雨によって、雨水が地表にあふれる「内水氾濫」の想定区域を示した地図です。特に都市部の平坦なエリアでは、洪水ハザードマップだけでなく内水ハザードマップもあわせて確認しておくと安心です。
土砂災害ハザードマップ
崖崩れ・土石流・地すべりなどの土砂災害の警戒区域を示した地図です。山や崖の近く、傾斜地に立つ物件を検討する際には特に確認しておきたい情報です。
高潮ハザードマップ
台風接近時などに、海面が異常に上昇する「高潮」による浸水想定区域を示した地図です。沿岸部の物件を検討する際の参考になります。
これらのマップは、あくまで「一定の条件(想定最大規模の降雨など)のもとでのシミュレーション」であり、実際の被害の有無や程度を保証するものではありません。想定を超える雨量が観測されれば、マップ上で「浸水想定なし」とされているエリアでも被害が発生する可能性はゼロではなく、逆に「浸水想定あり」とされているエリアでも、実際には被害が出ないことも多くあります。とはいえ、公的機関が科学的な知見に基づいて作成している情報であるため、住まい選びの重要な判断材料の一つになります。
実際に確認できる主なハザードマップ
全国のリスク情報をまとめて確認したい場合は、国土交通省の ハザードマップポータルサイト が便利です。住所を入力するだけで、洪水・土砂災害・高潮などの想定を重ねて確認できます。 あわせて、神戸市にお住まい・検討中の方は 神戸市情報マップ、 明石市にお住まい・検討中の方は 明石市ハザードマップ もあわせてご確認ください。市区町村版は、地域独自の避難所情報や、より詳細な区域図が掲載されていることもあります。
物件探し・内見時に確認しておきたいポイント
ハザードマップ上の想定浸水深を確認する
気になる物件が見つかったら、まずはその住所をハザードマップで検索し、想定される浸水の深さや土砂災害警戒区域への該当有無を確認してみましょう。マンションであれば、居住予定の階数と想定浸水深を照らし合わせることも大切です。
周辺の地形・過去の履歴もあわせてチェック
内見の際に、物件周辺の土地が周囲より低くなっていないか、近くに大きな河川や用水路がないかを実際に歩いて確認してみるのもおすすめです。不動産会社に「これまでにこのエリアで浸水の履歴があるか」を尋ねてみるのも一つの方法です(過去の履歴がないことが将来のリスクがないことを意味するわけではない点にはご留意ください)。
建物自体の対策も確認する
電気系統の配置(分電盤が高い位置にあるか)、止水板の設置有無、盛り土による嵩上げの有無など、建物自体にどのような浸水対策が施されているかも、確認できる場合はチェックしておくとよいポイントです。
マンションなら階数・共用設備も確認材料に
マンションの場合、専有部分が高層階であっても、エントランスや駐輪場・機械式駐車場、電気室などの共用設備が低層階や地下にあると、浸水時にライフラインへの影響が出る可能性があります。管理組合や管理会社が水害を想定した対策(止水板、排水ポンプなど)を講じているかどうかも、可能であれば確認しておくと安心材料になります。
住まいの水害への備えとしてできること
火災保険の水災補償を確認する
一般的な火災保険は、契約内容によって水災(洪水・高潮・土砂崩れなどによる損害)が補償の対象に含まれているかどうかが異なります。ハザードマップ上でリスクが想定されるエリアの物件を検討する場合は特に、水災補償が付いているか、補償の範囲や自己負担額はどうなっているかを契約前に確認しておくことをおすすめします。
避難場所・避難経路を事前に確認しておく
実際に住み始める前に、指定避難場所や避難経路、マイ・タイムライン(自分自身の避難行動計画)を確認しておくことも大切な備えの一つです。特に土地勘のないエリアに引っ越す場合は、天気の良い日にあらかじめ避難場所までの道のりを歩いてみるのもよい方法です。
非常用の備蓄・防災グッズの準備
飲料水・非常食・懐中電灯・モバイルバッテリーなど、最低限の備蓄をしておくことも、水害に限らずあらゆる災害への備えとして役立ちます。引っ越しのタイミングは、こうした防災グッズを見直す良い機会にもなります。
家族や職場との連絡手段を確認しておく
大雨や台風の際は、通信が混み合ったり、停電が発生したりすることもあります。離れて暮らす家族との連絡方法や、災害用伝言ダイヤル(171)の使い方などを、住み始める前に家族と共有しておくと、いざというときに落ち着いて行動しやすくなります。
よくある質問
Q. ハザードマップで「浸水想定あり」となっている物件は避けた方がよいですか?
一概に「避けるべき」とは言い切れません。想定される浸水の深さや頻度、建物の対策状況、ご自身が許容できるリスクの範囲などを総合的に考えたうえで判断することが大切です。想定浸水深が浅い、あるいは低層階を避ける、火災保険で水災補償を手厚くするなど、リスクへの向き合い方は物件やご家庭の状況によってさまざまです。気になる場合は、担当者にも遠慮なくご相談ください。
Q. ハザードマップはどこで見られますか?
国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」では、全国の情報を地図上でまとめて確認できます。加えて、各市区町村の公式サイトでも、より詳細な地域版のハザードマップが公開されていることが多いため、両方を確認しておくとより安心です。
Q. 賃貸物件でもハザードマップは確認できますか?
もちろん確認できます。住所さえ分かれば、賃貸・持ち家を問わず誰でも無料でチェックできる情報です。お部屋探しの際に候補となる物件が決まった段階で、住所をもとに一度確認してみることをおすすめします。
まとめ|「知っておくこと」が住まい選びの安心につながる
台風や秋雨前線による大雨は、毎年この時期に繰り返し発生するものであり、どの土地であっても無関係ではいられません。だからこそ、住まいを選ぶ際にハザードマップで事前にリスク情報を確認しておくことは、これから長く暮らす場所を決めるうえでの大切な一歩になります。
今まさに大雨の影響を受けている地域にお住まいの方は、どうか安全を最優先に行動してください。そして、これから住み替えや新生活を検討されている方は、天気の落ち着いたタイミングで、ぜひ一度ハザードマップを開いてみることから始めてみてください。
繰り返しになりますが、ハザードマップの情報だけで「安全」「危険」を断定することはできません。気になる点があれば、内見の際に担当者へ遠慮なくお尋ねください。エリアや沿線ごとの特徴も踏まえながら、ご希望に合った住まい探しのお手伝いをいたします。
